ゴー宣DOJO

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大須賀淳
2024.2.5 12:35その他ニュース

漫画と動画「雪表現」の違い

本日は大雪の予報で、空模様に戦々恐々とされている方も多いかと思います。

 

先日の「歌謡曲を通して日本を語る #6」では、よしりん先生歌唱の「津軽恋女」で降雪をリアルタイム合成する演出を行いましたが、

 

大雪で交通網のマヒまどがおきたら「大須賀が雪を降らせたせいだ!」と雪男(意味違う?)のレッテルが付いてしまうのでは…と、これまた戦々恐々とする今日この頃です。

 

同番組の#3でも、チェブリンさん歌唱の「越冬つばめ」で雪演出を行いました。この時は、冬のつばめに吹き付ける粉雪の吹雪イメージで映像を作りましたが(色もモノトーンにして幸薄いイメージに)、

 

今回の「津軽恋女」では、歌詞通り降り積もる重めの雪のイメージで、ニュアンスを変えてみました。同系統の演出でも、毎回変化をつけています!

 

さて、よしりん先生の番組で雪を降らせた時には、「戦争論」にも収録されたゴー宣シリーズの中でも屈指の名作「南の島に雪が降る」になぞらえ

 

というコメントを期待しているのですが、さすが皆さんわかってらっしゃる!過去2回、ちゃんと反応して頂いてます!

 

あ…やっぱりちょっと大雪を私のせいにされそう(笑)

 

さて、「雪」の表現ですが、実は「動画」「漫画」(および印刷物)では、条件に大きな違いがあります。

 

「画面に映す動画」は、情報がゼロになると「真っ暗闇」の世界。そこに「光の三原色」(レッド、グリーン、ブルー)を均等に混ぜると「白」になるので、白い雪を「足し算」的に加えるのは比較的容易です。

テレビやディスプレイは、自ら発光することで我々の目に光を届け、像を結ばせています。

 

一方、漫画(印刷)は「白紙」が基本にあり、そこに「色の三原色」(シアン、マゼンタ、イエロー)を均等に混ぜると「黒」になります(実際は、引き締まった黒を得るために、黒インク一色か、三原色+黒の4色を使うのが一般的です。)

 

この場合は原稿自体が発光するのではなく、他からの光が「反射」することで我々の目に届いて像を結びます

 

漫画ではベースとなる部分が白紙なので、白い雪を「魅せる」ための工夫が必要です。

 

もう一度「南の島に雪が降る」のコマを見てみましょう。

 

積雪は青みがかった繊細なグラデーションで描かれ、それが舞台設定や、たぶん眩い照明など無かったであろう戦地の劇場の空気感を醸し出しています。その綿密な下地を作った上で、おそらくホワイト(白の絵の具や修正液など)を散らす事で鮮烈な雪のイメージが表現されています。

 

描かれて四半世紀近くが経つ作品ですが、先生やスタッフの皆様の入魂の作画が情念を放ち続けていますね!

 

動画と漫画は、もちろん「動いているか否か」の違いもありますが、そもそも「像を結ぶ仕組み」が全く違うので、意識的・無意識ふくめて作りての発想にも大きな影響を与えているはずです。

 

ところで、昨年10月、大阪でのよしりん先生の独演会場で、幕間に(元は当然、印刷原稿である)「よしりん御伽草子」を素材としたイメージ動画を上映しました。

 

その際は実験的な試みでしたが、よしりん先生の作品の絵が巨大スクリーンに投影されたときの圧倒的迫力は十分に理解できたので、具体的なタイミングは未定ですが、さらに一歩進めた試みのために少しずつですが準備を進めています。

 

これからのDOJOでは、言葉(それ以前の抽象的思考)、映像、印刷物、そして音楽・音声まで含めた「角川以上のメディアミックス手法」(またハードル上げ(笑)の試みもどんどん提案して、エンタメと文化の百花繚乱の中で社会にうったえて行くような手法をどんどん提案して行こうと思っています。

 

直近2/10道場に向けても、当日の会場だけでなく、本番に向かって集約して行く試みを行って行きますので、是非ご期待ください!

大須賀淳

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